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昔、私の友人が少林寺拳法を学んでいたので誘われて映画館に行きました。
当時は極真会館と少林寺拳法のイザコザの経緯もよく知らず、あまり考える
ことなく観に行きました。

この映画が公開されたのが、「けんか空手 極真拳」が公開される前の1975年2月。

「少林寺拳法」

1945年 (昭和20年)の中国大陸。

日本軍特務機関の宗道臣(千葉真一)は、中国軍に潜入していた。
しかし、日本人と知られ宗道臣は襲い掛かる中国兵を拳法の技で倒し
日本軍司令部に報告に帰る。

だが、坂井大佐(小松方正)から日本が負けたことを告げられる。

「日本は負けた!だが、俺は負けてはないぞ!」
機関銃を振り回しながらの心の叫び。

満州から日本へ引き揚げようと待っている日本人達。
そこへ日本兵が現れ軍の上層部の相手をしろと、
一人の娘、菊(中島ゆたか)を連れて行こうとする。
それを止めに入る宗は日本兵を叩きだし菊を救う。

昭和21年、帰路の列車の中で宗道臣は乱暴を働く中国人を抑える。
列車にいる日本人乗客は、見て見ぬふり・・・
宗は、日本人達を一喝する。
「お前達はそれでも日本人か!」
「戦争に負けても、そこまで腑抜けになることはない!」

母の墓の前に立つ宗。
子どもの頃を回想する。
貧乏でバカにされた少年期。
それでも耐えて一生懸命に生きてきた母親。
しかし、自分は自らの力で戦う人生を選んだと墓前に告げる。

大阪・阿倍野
宗は、親を亡くした子どもたちを集め生活していた。

そうした中、子どもたちはヤクザの赤松組が扱う進駐軍の横流しの缶詰を奪い
赤松組に捕まり痛めつけられる。
宗が駆けつけ赤松組を叩きのめし、トラックにあった缶詰をばら撒く。

その風景を酒を飲みながら眺める帰還兵の大滝憲太郎(佐藤允)
フラフラと宗に近づき勝負を挑むが、あっさりと倒されてしまう。

その夜、パンパン達に囲まれ痛めつけられている女を助け出す宗。
パンパン達の縄張りで商売をしようとしていたらしい。
その女は満州で助けた菊であった。

菊は母親も亡くなり弟と二人で生きていくために体を売ることを決意していた。
話を聞いた宗は、菊と弟を呼び寄せ雑炊を腹いっぱい食わせる。
涙する菊。

更に菊から、ソ連兵に強姦されてきて体はボロボロだという話を聞き宗は
菊と弟を闇市のバラックに住まわせることにする。

雑炊屋で働き始める菊。
その時、菊の弟が進駐軍のジープにはねられてしまう。
進駐軍はそのまま走り去ろうとする。
宗がジープに駆け上がりアメリカ兵二人を叩きのめす。

警官が駆けつけ、宗は手錠をかけられる。
嘲笑する赤松組の組員を投げつけ、警官達に囲まれ宗は警官も倒す。

留置場に入れられた宗。
そこには、大滝が先に入っていた。

あの時は酔っていた、俺は空手四段だと再び宗に勝負を挑む大滝。
とりあわない宗だが、執拗に攻撃を仕掛ける大滝。
あっけなく倒される大滝であったが、宗の腕前に感心する。

菊と弟、子どもたちは宗の帰りを待つ。菊の弟も重傷ではなかった。
そこへパンパン達が子どもたちにチョコレートを持ってきた。
喜ぶ子どもたち。

そこへパンパンを取り締まるために警官達がやって来た。
パンパンに紛れて、菊も警官に連行されてしまう。

留置場で眠る宗と大滝。
寝言で妻の名を呼ぶ大滝。
大滝の妻が行方不明になっていることを知る。

宗は、警察署長の小早川(丹波哲郎)に呼び出される。
明日、MPに宗を引き渡さなければならなくなったが、その前に
大阪を出て何処かに行け、後は私が責任を持つと話す。
小早川は、宗の人間性を信頼していた。

宗は、子どもたちと暮らす闇市へ戻る。
歓喜する子どもたちに大阪を出なければならなくなったと別れを告げる宗。
子どもたちは涙を流しながら宗を見送る

昭和22年 香川県多度津。

ダンスホールで一人酒を飲む帰還兵の友田弘(誠直也)

日本女がアメリカ兵とダンスする姿を見ながらイラつきアメリカ兵を押し倒す。
それを見ていた岩佐組。友田を店から連れ出し痛めつける。
そこへ現れた宗。
岩佐組の組員達を蹴散らす。

友田を助け起こすが、友田は拳銃で仕返しをしようとする。
頭を冷やせと、宗は友田を海へ突き落とす。

宗の家で鍋を囲む若者達。友田の顔もある。
友田に拳法をやってみないかと誘う若者。しかし、友田は浮かぬ顔。

宗の号令で稽古する大勢の若者。
友田は酒を飲みながら眺めている。

そこへ友田の妹、美穂(志穂美悦子)が駆けて来た。

ふてくされている友田。
宗も、甘ったれてる人間なんかほっとけと話す。

屋台で弟子達とうどんを食べる宗。
屋台を営む村山は、一人で少林寺拳法の道場を立ち上げた宗に感心する。

村山の娘の典子(星みどり)がどんぶりを洗っていると岩佐組の竹原(安岡力也)達が
典子にちょっかいを出す。
一喝する村山に対し、村山親子に手を出す竹原達。

宗が竹原達を叩きのめす。

それを見ていた友田兄妹。
兄の友田が、俺もやってみようかとつぶやく。
美穂も賛成し、宗に兄妹で弟子入りを願う。

道場で友田兄妹も加わり指導する宗。

そこへ柔道家二人が道場破りに来る。
宗は二人の柔道家を倒し最後は腕を折る。

そこへ大滝が訪れた。
妻を探すが見つからないと話す大滝に宗は、しばらく道場に
いればいいと告げる。

典子が学校からの帰り道、竹原達が襲いかかり典子を犯す。
父の村山が知り警察へ通報するが、竹原達はすぐに釈放となった。
怒りと悔しさを宗に話す村山。

ダンスホールで踊る竹原達。
そこへ宗と村山が現れ竹原達をブチのめす。
「きさまらがつまらん物ブラさげとるから、つまらんことなるんだ!」
ハサミを取り出し宗に渡す友田。

宗と友田が竹原を押さえ込みズボンを脱がせハサミで切り落とす。
震えあがる竹原の仲間。

友田兄妹が神社の境内で稽古をしている。
変貌した兄を嬉しく思う美穂。

そこへ刃物を持った岩佐組が・・・

応戦する友田兄妹。

日本刀を抜いた組員の加賀(佐藤京一)が友田に切りかかり友田の右腕を斬り落としてしまう。

怒る宗は、弟子二人とともに岩佐組長(名和宏)の家に乗り込む。

宗に刀を向けられた岩佐組長は、加賀に落とし前をつけて指を詰めろと命じる。

命じられたが短刀を持ち躊躇する加賀。そこへ宗の蹴りが短刀へ。
指を切り落としもがく加賀。
更に怒りの治まらない宗は、岩佐組長の腕を脱臼させる。
「三日もすりゃあ治る、今度やったらこうはいかんぞ!」

高松まで妻を探しに来た大滝は、朝鮮人と所帯を持った妻の昌子(森秋子)に再会する。
大滝が戦死したと思っていた昌子は驚く。
大滝は、貧乏ながらも幸せそうな昌子を許し去っていく。

道場で狂ったように一人で稽古をする大滝。
宗が大滝の異様に気付き事情を聞こうとするが、大滝は
「女房は死んだ」と泣き伏す。

友田は、事件以来浴びるように毎日酒を飲んでいる。
心配する美穂の言葉も通じない。
宗が酒場にやってくる。

友田を酒場から引き出し宗は何度も友田を叩きつける。
「立て!」
宗の言葉にフラフラになりながらも攻撃する友田。
その一瞬、友田の拳が宗の顔面に。
喜ぶ宗。
「やればできるじゃないか!己の心に打ち克つ、それが少林寺拳法だ!」

道場での稽古。
宗の気合のもと、多くの弟子が稽古にはげむ。
大滝、友田兄妹、そして典子も。

昭和23年 少林寺拳法の公開演武会が開かれる。

道場へ赤松組長(小池朝雄)が上がりこんでくる。
神戸の暴力団と手を組み四国にも進出してきたのだと。
道場の若い者を組に回せないかと宗にもちかけるが、宗は聞く耳をもたない。

赤松組の事務所には岩佐組長らが待っていた。
岩佐組長は赤松と少林寺拳法を潰そうと話をする。

少林寺拳法の道場には、住民達が相談を持ちかけていた。
役所、警察の幹部達が赤松組に接待され住民を追い出そうとしているようだ。
宗は責任持つから徹底的に居座ったらいいと住民達に話す。

そこへ大阪から宗に電報が。
菊が病に倒れているとの報せ。

大阪に行き、病床の菊、子どもたちと再会する宗。
宗の活躍ぶりを新聞で知っていた菊は喜ぶ。

しかし、菊は吐血し弟、子どもたちのことを頼むと宗に言い残し息をひきとる。

菊には力がなかったが、愛があった。しかし自分には力しかなかったことを宗は悟る。
「そうだ!力愛不仁だ!」

赤松組と岩佐組がトラックで押しかけ住民達の家を壊す。
止めに入る大滝。
しかし、赤松組の刃に倒れてしまう。
大滝に駆け寄る昌子。

そこへ宗と弟子たちが駆けつけるが変わり果てた大滝の姿を見ることになる。

赤松と岩佐が料亭で酒を酌み交わしているところへ組員達が駆け込み
少林寺が邪魔をすると報告する。
そんならワイが警察署長へ掛け合うたるわと赤松が席を立つ。

そこへ宗が一人で現れた。

刃物で宗に襲いかかる組員達。

宗の拳が次々と組員を倒していく。
恐れる赤松と岩佐。

まずは岩佐を倒し両腕をへし折る。

逃げだす赤松を宗が追う。その後からは組員が追ってくる。

組員を倒しながら赤松を追う宗。

そこへ組員の加賀達が日本刀で斬りつけてくる。
右腕を斬られる宗だが、組員全員を倒し赤松を更に追う。
しかし、その前には拳銃を持った赤松が。

隙を見て宗の蹴り。赤松をついに捕らえ拳を赤松にブチ込む。

赤松は口から血を流し動かなくなった。

晴天の下、宗を中心に大勢の若者が拳を突く。

そこには、大阪からの子どもたちの姿も。

「正義をともなわない力は暴力なり 力をともなわない正義は無力なり」

-完-

【解説】

この映画を、今もう一度観ると極真拳とはまた違った感覚になりますね。

この映画では、とにかく地元のために近くに居た人のために宗道臣が戦ってます。
地元住民の信頼を得て、子どもたちにも信頼されるという姿が好感持てます。
こういう人だと、すぐに町内会長にもなれるかなと。

この点、極真拳シリーズを観ると、とにかく自分が強くなるために空手に打ち込む
という姿がクローズアップされ、人のためにというシーンもありますが、ヤクザの
用心棒になったりと、どこかブレたりするシーンもあります。

この映画の宗道臣は、最初から最後まで徹底してブレることなく真っ直ぐに生きて
ますね。

そして映画の話でなく、とにかく凄いのが少林寺拳法の組織力でしょうか。
極真会館と少林寺拳法とのイザコザの際も、かなり多くの少林寺拳士が極真会館の
本部道場を取り囲んだという話もあります。

さて、この映画に出演している俳優さんもいいですね。
今回は、石橋先生は出演してませんが・・・

赤松組長役の小池朝雄さんは「刑事コロンボ」で有名ですね。最近知ったんですが、
アニメの「あしたのジョー」でエンディングの「ジョーの子守唄」を唄ってたんですね。

今年の4月に亡くなられた安岡力也さん、いい悪役してますね。
実際、この映画の後に少林寺拳法を始めて五段を認可されたとか。

誠直也さんは、東映でケンカ最強説があったとかで路上でのケンカも多く経験してたようです。
○○レンジャーの先駆けである「秘密戦隊ゴレンジャー」は、昔よく見てました。

志穂美悦子さんは、言うまでもないですね。この映画で兄役の誠直也さんと弟子入り志願を
するときの「合掌礼」がきまってました。

これも熱い映画なってます。ちょっとストーリーが雑な感もありますが、そんな細かいこと
言わず楽しめる映画です。

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次は何を書き込もうかと考えてますが・・

何か希望あればコメントしといてください。
今日はマイレメ行ってきます。

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