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香港ばかりじゃない日本製カラテ映画「激突!殺人拳」
1973年12月に「燃えよドラゴン」が公開されて、翌年からは続々と香港製カンフー映画が日本に輸入されてきました。
その中、日本でもカラテ映画が製作され1974年2月には東映で千葉真一主演で「激突!殺人拳」が公開されました。
千葉チャンは、「ボディガード牙」でもカラテを使いましたが今度は少しだけカラテらしい型になってきています。
他流試合で7人を殺害した沖縄空手の達人、死刑囚の志堅原楯城(石橋雅史)が
刑務所で稽古をしている所から始まる。
死刑執行直前の志堅原の前に僧侶として現れる剣琢磨(千葉真一)。
空手の使い手と見抜いた志堅原は、剣琢磨に闘いを挑むが剣の秘術で敗れ、更には
死刑台に上がる際に心臓発作となり病院へ運ばれることとなる。
病院へ運ばれる途中、琢磨の相棒、ラクダの張(山田吾一)が志堅原を奪い脱走を
成功させ、志堅原楯城は香港へと逃れる。
琢磨の元に脱走を依頼した志堅原の弟、志堅原義順(千葉治郎)と妹の志堅原奈智(志穂美悦子)が
現れ、兄の志堅原楯城に会わせろと言うが、約束の残り300万円が支払えてないため琢磨は拒否。
志堅原兄妹は非情な琢磨に怒り、琢磨を倒そうとするが逆に義順はビルから落下して絶命する。
琢磨は奈智を牟田口組々長の牟田口連蔵(渡辺文雄)に300万円で売り渡してしまう。
牟田口と、香港からやって来た五竜会の楊紀春(風間千代子)は、琢磨に、謎の死を遂げた
ベルネラの石油王の娘サライ(中島ゆたか)の誘拐を依頼した。
だが、琢磨は五竜会が石油王国を乗っ取る魂胆である事を知る。
サライが叔父である政岡憲道(鈴木正文)の空手道場に居ることを知った琢磨は
政岡の道場、正武館に乗り込み自分の腕を買えと道場破りを行うが館長の政岡と
対決して敗れる。
しかし、琢磨の腕を見込んだ政岡はサライを五竜会から守るよう依頼する。
香港では、ディンサウ(山本麟一)の下に脱走した志堅原楯城が居た。
楯城は、そこで香港に売られてきた奈智と再会し、弟の義順が死んだことを聞かされ
琢磨への復讐を誓う。
琢磨に裏切られた五竜会は、殺し屋ディンサウ、盲狼公(天津敏)、奈智、楯城を日本へ送り込む。
サライは父親の部下であるバヤン(遠藤太津朗)に誘われ伊豆に向かうが、そこで捕らわれてしまう。
琢磨は相棒の張とともにサライを救出するが、五竜会により逆に琢磨が捕らえられサライの居場所を
追求される。
捕らえられて殺されそうになった琢磨の身を案じた張は、サライの居場所を五竜会に知らせたため、
琢磨から絶縁されてしまう。
再び捕らわれたサライの救出のために琢磨が五竜会の楊紀春を尾行したところへ盲狼公の剣が襲い
かかる。
そこへバイクに乗った張が盲狼公に立ち向かうが、張は盲狼公の剣で斬られる。
盲狼公を倒した琢磨は、張を抱き寄せるが張は息を引取る。
そこで、張の思いに初めて涙を流す琢磨。
神戸港に停泊するプリンセスサライ号の一室では、サライの父を殺し、五竜会を陰で操る
黒幕の副社長、ジャードが、サライに石油会社を譲渡する権利書にサインを迫っていた。
琢磨はタンカーに乗り込みサライを救出しようとするが、琢磨の前に楯城と奈智が現れ
二人の空手、サイの攻撃で琢磨は窮地に追い込まれるが・・・
【解説】
この「激突!殺人拳」で石橋雅史先生の本領発揮ですね。
この後の映画でも、千葉チャンと石橋先生との共演は何回も観ることができます。
この映画の最初のシーン(刑務所内での対決)では、千葉チャンの動きは
明らかに少林寺拳法の動きです。
この当時、千葉チャンの主宰するJAC(ジャパン・アクションクラブ)では
少林寺拳法を主に学んでいたようです。
志穂美悦子さんがテレビの番組でも、少林寺拳法をやけに押してました。
他に、千葉チャンの動きは少林寺拳法だけでなく、空手の技なども披露しますが、
どれも映画的には見栄えがしないんですがアメリカでは絶大な人気を得るように
なります。
ブルース・リーより本格的なカラテ。
格闘場面が現実的など、アメリカ人の視点からは新鮮だったのかと思います。
日本より、アメリカで「殺人拳」シリーズは有名になります。
この作品で出演している鈴木正文先生、かなりセリフがヘタクソです。
実際、武道家の先生ですからしょうがないんですがね。
鈴木正文先生は、京都で日本正武館を立ち上げ、全日本硬式空手道連盟の
会長になられた人です。
日本プロレスコミッションのコミッショナーを務め、アントニオ猪木の
ウィレム・ルスカ戦や、ザ・モンスターマン戦のレフェリーを務める。
テレビで鈴木先生を見た人も多いと思います。
また、山口剛玄先生の名前が出て協賛というのは当時としては凄いかなと。
山口剛玄先生は、全日本空手道剛柔会の創始者。
大山倍達にも空手を教授した。
とにもかくにも、日本で初めての本格的なカラテ映画となってます。
次回は、「激突!合気道」について。
知らない人が多いと思いますが、これはホント意外に面白いですよ。
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