自然天然です。ブログ更新が遅くてスイマセン・・・

今回は、かつてＫ－１のリングで活躍した元キックボクサーの武田幸三が
初主演の映画「デスマッチ（Death Match）」 です。

正式な劇場公開は２０１４年６月２１日ですが、２０１３年３月２７日
第５回沖縄国際映画祭「Peace」部門で公開されてます。

監督：Arty Morgan
脚本：Arty Morgan

【デスマッチ】

フィリピンの刑務所　その鉄格子の部屋で一人黙々と腕立て伏せ、腹筋を行う男
ジョー（武田幸三）

ジョーの出所できる日が訪れた。

出所したジョーが真っ先に向かった場所、それはジョーが一人の男を殺した場所
でもあった。

６年前、レストランで食事をするジョー。
レストラン奥のキッチンで、女の悲鳴、赤ん坊の泣き声が聞こえる。
リサ（Elle Velasco）が夫のトニー(Tony Altamimi)から殴られ罵声を浴びせられていた。

食事をしていたジョーがフォークを皿に置く。
リサを更に殴ろうとしていたトニーの腕をジョーが掴み止めに入る。
邪魔されて怒るトニーは、帰ろうとするジョーをナイフで襲うが、
ジョーの一撃により昏倒、絶命してしまう。

裁判では、正当防衛であるものの元傭兵で、その鍛えられた拳が凶器とみなされ、
第一級殺人罪が適用された。

リサは、新しいレストランを一人で切り盛りし息子のケン（Ali Fawaz）と暮らしていた。
訪れたジョーに、リサは戸惑う。

ジョーは、刑務所に差し入れをしてくれていたリサに礼を言う。
リサは、ジョーのことは恨んでないと言うが、もう関わらないで欲しいとも話す。

そこへリサの兄、ブライアン（Alvin Anson）が大男のバッファロー・ビリー(David Bruns)を連れて
店に入ってくる。
ブライアンはバッファローに何か食わせろと勝手にキッチンを漁る。

ジョーは、静かに店を立ち去る。

ブライアンは、リサに金の無心をするがリサは断る。リサは、夫トニーが作った
借金を今でも毎週返済し続けていた。
しかし、ブライアンはストリートファイトでの賭試合のために資金が要ると無理やり金を
リサのバッグから奪う。

その夜、ストリートファイトの賭試合が行われている飲み屋へジョーが入る。
そこでは、ブライアンがバッファローを連れて試合が行われていた。
妹リサの金３００ドルをバッファローに賭けるが、バッファローは相手のスパイダー(Jerry Obien)に
首をへし折られてしまう。

賭けに負け、ヤケ酒を飲もうとするブライアンだが、金は無い。
そこへ金を出したのは、リサが借金の返済をしている金貸のＴＪ（江原シュウ）
ＴＪは、リサに今夜中に金を届けろと言えとブライアンに凄み店を出る。

横で話を聞いていたジョーは、ブライアンに自分に金を賭けろと話を持ちかける。
刑務所から受け取った服役中の賃金をブライアンに渡すジョー。
そして、スパイダーの前に立つ。

殴りかかるスパイダーの拳を軽くよけ、ジョーの右ローキックがスパイダーの
左大腿に、そして右拳がスパイダーの顎を打ち込みスパイダーは失神。
静寂となる店内。

驚くブライアン。

その金を全て妹に渡せとブライアンに告げ、ジョーは去っていく。

翌日、ジョーが泊まるホテルへブライアンが現れ、一緒に組んで儲けようと
話を持ちかけるが、ジョーは断る。
しかし、ブライアンは妹リサが借金に追われていることなどを理由に、償いを
したいのならやれと。
ジョーは、リサに内緒にすることを条件に承諾する。

ブライアンが試合を組んで、ジョーが闘う。
二人が組んでのストリートファイトが始まった。

リサの息子ケンが一人でサッカーボールを蹴っている。
そこへジョーが現れ、ケンはジョーに一緒にやろうと誘う。
ボールが上手く蹴れず諦めようとするケンに、ジョーは「諦めちゃダメだ、
諦めずに頑張れば必ず出来る！」とケンを諭す。
ケンの蹴ったボールが勢いよく飛んだ。喜ぶケンとジョー。

そこへブライアンが来た。
ブライアンはケンにジョーのことを友人のトムだと言い、リサには内緒だと告げ
ケンを家に帰す。

リサに内緒のはずが、父親代わりのつもりか？
ブライアンの言葉に返す言葉もないジョー。

次の試合相手はアイアン・ホーク(Brad Santanna)という強豪。
キック、パンチの応酬が続くが、突然ジョーが左眼を押さえフラつく。
何とかアイアン・ホークを倒すジョー。

ブライアンと伴に帰り際、金貸しのＴＪが二人の前に現れ、組織のボス
ナオミ（Maxine Mamba）の元へ連れて行かれる。

ナオミは一か月間、自分のためにジョーが試合をすれば、リサの借金を帳消しに
すると話し、ジョーはブライアンがマネージャーであることを条件に引き受ける。

ナオミの邸宅を出たところで、突然ジョーがまたもや左眼を押さえうずくまる。
傭兵時代、戦地で受けた傷が痛む。
薬をブライアンから調達してもらい、薬を飲むジョー。
しかし、その薬を飲み続ければ失明のおそれもある。

ナオミの手下、ランス(Kuya Manzano)が用意したカンフーの使い手
タイガー・リー(Arnel Panoncio)との試合。
パンチ、キックと連続して技を繰り出すタイガー。
しかし、ジョーのパンチがタイガーの腹、顎へ繰り出されタイガーはダウン。

悔しがるランス。

リサはいつものようにＴＪへ返済金を持参するが、ＴＪから今回の分は貰っていると
言いリサを帰す。

不審に思うリサは、兄のブライアンに尋ねる。
ブライアンは、俺達が必死に働いてるから安心しろとリサに話すが、リサは納得しない。
そして、ブライアンはジョーの存在を話す。
ジョーが償いのために自分の体を張って戦っていることを。

翌朝、海に向かい正座するジョー。
静かに礼をし、正拳突きを始める。
黙々とトレーニングするジョーを遠くから眺めるリサとケン。

その後もジョーは、フラフラになりながらも試合でファイター達を倒していく。

元マーシャルアーツファイター、ジミー・ザ・ロック(Almario Leal)のトレーニングを見る
ゴードン(Kenyon Martin)の元へランスが現れる。
ナオミに損させられているゴードンは、ランスにジミーとジョーを勝負させないかと話す。

ジョー対ターボ・シン(Karan Malli)

ナオミの横でランスも観戦している。
そこから離れた位置では、ゴードンも。

互いに攻撃していく中、ターボの頭突きがジョーの頭部を襲う。
古傷の強い痛みが走るジョー。
フラつくジョーを不安げに見守るブライアン。
しかし、ジョーは顎へのアッパー、膝蹴り連発、最後は回し蹴りでターボを沈める。

よろめきながら控室に戻るジョー。
駆けつけたブライアンから薬を受け取り、それを飲む。

ナオミの前へゴードンが立ち、ジミーとジョーの試合を持ちかける。
ランスの助言でＯＫするナオミ。

ホテルの部屋へ戻るジョーをリサが待っていた。
自分が勝手にやってることで、もうすぐ終わるとリサに話すジョー。

ジミーとジョーの試合の日程が決まった。
電話でナオミからの連絡を受けるブライアン。
その後ろでは、ジョーとケンがサッカーをしている。
しかし、ジョーの左眼にまたも痛みが・・・

まだやろうと言うケンをなだめブライアンはジョーに試合の日を伝え
ケンを連れて行く。

薬をポケットから取り出すジョーを心配そうに見つめるリサ。

ブライアンは、ランスから相手ファイターの情報があるとゴードンの元へ
おびき寄せられる。
以前、アメリカで詐欺仲間から持ち逃げした金を返せとブライアンに迫ってくる。
拳銃で脅され、金を返す代わりにブライアンはある条件をのむ。
ジョーが次の試合で確実に負けるという条件であった。

ジョーはリサに連れられ、リサの夫トニーの墓を訪れる。
そこで、リサは墓に来ることがトニーの家族から止められていることを知らされ
ジョーは花を墓の門前に置きそこを去る。

ジョーと別れたリサはケンを迎えに行き帰宅しようとしていた。
そこへ急ブレーキをかけて止まる車から二人の男たちが降り、
リサとケンを車へと押し込む。
その車の中にはブライアンの姿が・・

リサとケンはホテルの倉庫で縛られ監禁される。
ブライアンは、ゴードンに話が違うと訴えるが、なすすべがない。

ジョーは、街の靴屋でケンのサッカーシューズを購入して、リサのレストランに
向かうが、レストランの灯りは消えていた。
扉を開け、中に入るとブライアンが電気を点け立っている。その後ろにはゴードン。

ゴードンは、リサ親子を預かっていることをジョーに告げ、試合に負けるように命じる。
ジョーは、サッカーシューズをブライアンに手渡し、コンビ解消を告げ、去って行く。

試合場は金網を張った特設リング。
多くの観客が札束を持ち興奮状態となっている。
リングに入ろうとするジョーをランスが呼び止め、携帯の写真でリサとケンが
縛られている様子を見せる。ヘタな真似はするな、たっぷり客を喜ばせて負けろと。

ナオミとゴードンは賭け金を確認し別室で試合映像をモニターで見る。

リサ親子が監禁されている倉庫へブライアンが現れ、見張りの二人を鉄パイプで
殴り倒す。

試合が始まった。

まずはジミーの牽制から、パンチ、キックが繰り出される。
それをかわしていくジョー。
だが、ジミーの攻撃がジョーにヒットし、パンチの連打がジョーを襲う。
そして、ジミーの膝蹴りで倒れるジョー。
這いながらも立とうとするジョーへ更にジミーの蹴り。
金網を背に何とか立ち上がるジョー。

ブライアンは、リサとケンを車に乗せ試合会場へと向かう。

一方的に攻撃されるばかりのジョー。
そこへまた左眼の痛みが襲う。そしてジミーの蹴りがヒットし、ジョーは倒れ込む。

リサとケンを降ろし、ブライアンは逃げようとするが、そこへＴＪが現れる。
すでに、ランスとゴードンが仕組んでいることを気付いていた。
後は、ボスに任せろとＴＪがブライアンに告げる。

ジョーは打たれ続けフラフラ状態。
更に倒れ、金網を掴みながら立とうとした時、
「ジョー！」リサの叫びが。
「トムおじさん！」ケンも叫びジョーの元へ駆ける。
「諦めちゃダメだよ・・諦めずに頑張れば必ず出来るって・・」

ケンの言葉にジョーが奮い立つ！
襲ってきたジミーにまず、肘打ち！
次に正拳をジミーの顔面に叩き込む！
気合いを発したジョーの回転蹴りがジミーの頭部にブチ込まれた！
更にはパンチを一発、二発とジミーの顔面にブチ込み、ジミーはついにダウン。
そこから起き上がることはなかった。

歓喜するケン、そして観客。
リサは、ホッと胸をなでおろす。

ナオミには、ＴＪからゴードンの悪巧みが知らされ、ナオミは今回の件は忘れるが
ブライアンを放免することを条件だとゴードンに告げる。
その場を立ち去るゴードン。

試合会場では、ブライアンがランスに怒りの鉄拳。

リサとケン、ブライアンに迎えられリングを後にするジョー。

レストランで食事の用意をするリサ。
ケンは、ジョーにプレゼントされたサッカーシューズを手に待っている。

ブライアンがホテルの前で、酒を手にジョーを呼ぶ。

しかし、ジョーはリサ親子の元から去るつもりだった。
別れを惜しむブライアン。
「ドウモアリガトウ」
そう言いお辞儀しようとするブライアンをジョーが止める。

本当の友人はこうする。
ジョーは手を挙げ、ブライアンと固い握手をする。

「じゃあな」
ジョーの言葉に「ああ」寂しく応えるブライアン。

真っ直ぐな道を、ジョーは振り返らず歩いて行く。

ーＥＮＤ－

【解説】

昔あった西部劇を拳（コブシ）だけの西部劇映画にしようと作られたのがこの作品
だそうです。
音楽もオープニングから西部劇調で流れていきます。

さて、この映画のジョーと実際の武田幸三と被ります。
Ｋ－１時代、片目の視力が殆ど失われた状況で試合をしたという状況。
この脚本は、武田幸三を知ってのものかと思われますが、どうなんでしょうか？
武田幸三とジョーの雰囲気は私たちがＫ－１を見てきた印象そのままです。

さて、この映画の脚本、監督を務めたアーティー・モーガン。
実は、外人ではなく日本人です。
室賀厚、日本でも多くの作品を手がけています。
今回の映画では、西部劇のように監督名も変えたそうです。
そのため本編は全部英語ですね。
それが良かった！

この映画が、もし日本語だったら・・・

武田幸三は、今回の撮影に当たって現役時代の体に戻したそうです。
超合金とも言われた武田幸三の肉体が蘇ってます。

そして、キックボクサーであった武田が新たに学んできたのが新極真会の空手。
昨年の第一回フルコンタクト空手道選手権大会（２０１４年５月１８日）での来賓挨拶で、
「押忍！空手家の武田幸三です。」と挨拶していました。そして、新極真会に通い空手の稽古をしていると。
実際に緑代表から指導を受けている動画もありますので興味のある方は検索して御覧ください。

ここでヒロインとなるのが、リサ（エル・ベラスコ）ですね。
薄幸な姿が役柄にピッタリです。
それに対して組織のボス、ナオミ（マクシー・マンバ）も豊満でピッチリです。
この二人の対照的な描画も面白いと思います。
どちらもフィリピンでのモデル兼女優さんのようです。

そして、どうしようもない兄貴を演じたブライアン（アルビン・アンソン）も
良かったです。

妹の金をあてにしてギャンブルをし、詐欺仲間から更に金を奪うなど、
クソみたいな奴だが最後の最後は良心に目覚めていきジョーとの親友にもなる。
ジョーとの別れ際の握手は感激ものでした。

意外に意外だったのが、金貸しのＴＪ（江原シュウ）。
悪徳金融屋と思いきや、実は正直者の奴だったりして最後はリサ親子とブライアンの味方に。
江原シュウ：お笑い芸人を経て、数々のテレビ番組、映画、ビデオに出演されてます。

ジョーがブライアンに別れを告げ歩いていく後姿。
私個人の感覚から「ドラゴンへの道」を彷彿とさせる感じでした。

とにもかくにも、今回の映画は素晴らしい！！
私が大好きな映画です！
パート２を是非作ってもらいたいと思う作品でした！！

日本人は、何処の地に居ても日本人でありたい。
しかし、日本人の誇りだとか、名誉だとかを表に出して
傲慢になってはいけない。
一人の人間として生きることが大事。
人間として行動する、生きる姿勢そのものが日本人であり、
他の国には真似できないもの。

まだ観てない方、観るべし！！