さて、楽しかった「ザ・カラテ」ですが３作目で終わりとなりました。

三部作通して監督は野田幸男、脚本は高田宏治、志村正浩です。

また、出演者も鈴木正文、山城新伍、堀越陽子と変更なしです。

前作から約２か月ちょっとの１９７５年１月に３作目が公開されました。

【ザ・カラテ３　電光石火】

世界には、山下タダシの王座を虎視眈々と狙う武道家達がまだ数多くひしめいていた。

凶器の剣を振り回すクレイジー・竜（ロン）
（台湾高砂活殺流）

大量の瓦割り、ボブ・ウィリー。
（豪州・ブラックベルト七段）

大量のブロック割り、サム・ゲラー。
（豪州・空手チャンピオン）

釘を敷いての石割り、モハメッド・バスラ。
（全アラブ・空手チャンピオン）

ビール瓶を握力で砕く、吸血ハブ兄弟。
（沖縄摩文仁流）

十字架剣を武器とする、デビル・クルス。
（バチカン十字殺法　全欧空手チャンピオン）

ドラム缶を拳で穴を空ける、ブラック・ウルフ。
（インターナショナル空手チャンピオン）

 

狙われてることも知らず、タダシ（山下タダシ）はラーメン屋の裏庭で町の若者達に空手を指導している。
ラーメン屋のオヤジと、その娘も。
そして、三平（山城新伍）も汗を流している。

しかし、雨の日は空手の稽古ができない。
若者から皆で金を貯めてタダシの道場を作ろうと提案がある。
タダシも自ら働いて金を稼ぐ決意をする。

次の日、三平は昇段試験に挑む。
審査員席には鈴木正文館長と娘の忍（堀越陽子）
しかし、緊張し過ぎてムチャクチャな三平。
緊張の余り自ら泡を吹いて倒れてしまう。

 

模範演武。
中国太極古道、陳松林（チン・スンリン）老師（岩田直二）の静かな演武。

それを見守るのは娘の陳愛玲（チン・アイリン）（早川絵美）。

 

陳松林の演武後、愛玲はタダシに稽古をつけて欲しいと鈴木館長に願い出る。

困惑する鈴木館長であるが、娘はタダシと会うのを楽しみにしていたと陳松林の言葉で了承する。

タダシと愛玲の組手。

タダシの攻撃を流れるようにかわす愛玲。

そして、愛玲はタダシの正拳突きをかわし、太極古道　秋霜落ち葉の秘拳をタダシに打ち込む。

更なる愛玲の突きをかわし一本背負いで愛玲を倒すタダシ。
とどめの踵蹴りを愛玲に見舞う寸前、鈴木館長の「止め！」の声、そして愛玲の「参りました」

タダシが平常心へと戻る。

笑顔でタダシに礼をする愛玲。二人
は互いの健闘を称え握手する。

 

京都の庭園で陳親子とくつろぐタダシと忍。

そこへ、突然クレイジー・竜の剣が陳老師の右腕に突き刺さる。
ヤクザ達も現れ、タダシ、愛玲、忍が立ち向かう。

鈴木館長の部屋で手当てを受ける老師。
鈴木館長が心配するが、陳老師と愛玲は九州へと帰る。

 

タダシは道場建設のための資金稼ぎのため運送屋のアルバイトでトラック運転手となり、
陳親子の住む九州へと向かう。

その道中、外人二人組と酔っ払いの黒人を拾い九州へ。

関門海峡大橋を通過したところで警察の検問があり、タダシはトラックに乗せた外人二人組が
拳銃密輸犯と知るが、タダシの腹には銃口が向けられそのまま進むことになる。

外人二人組に銃口を向けられたまま、タダシはヤクザ達の元へ。
タダシはヤクザ達の拳銃に囲まれるが、酔っ払い黒人の助けもありヤクザ達は逃げていく。

しかし、酔っ払い黒人は外人二人組のスーツケースを奪い更にはタダシのトラックまでも
奪って行ってしまう。酔っ払い黒人の正体は、ブラック・ウルフだった。

 

別府のヤクザ唐崎興業の事務所へ、ウルフが現れる。
奪ったスーツケースの拳銃を売りに来たのだ。

唐崎興業の手下は意気込むが、それを抑えて組長の唐崎がウルフの腕とともに買い取ることを承諾する。

陳老師は九州の武道家達と会合をし、九州武道館の建設について話し合っていた。
そこには唐崎も参加していた。
そして、唐崎から九州武道館の初代館長は陳老師でなく日本人にしようと提案が出る。

商工会会長の津村は、それを否定するが唐崎は試合で決着をつけてはどうかと引かない。

陳老師は、武道館建設のために自分が試合に出ると申し出る。

陳老師に反発する豪原の道場でクレイジー・竜とウルフの試合が行われ、
ウルフは竜の剣を交わし勝利。
唐崎は豪原にウルフを売り込み陳老師と対決させる目論見だった。

 

愛玲が指導している太極古道の道場。
そこへタダシが訪れる。
「たのもう！」と発するタダシに弟子達が構えるが、
愛玲は「まあ、山下さんじゃありませんか♡」
タダシも「愛玲さん♡シバラクデス♡」と、二人は再会を喜ぶ。

陳老師とも再会したタダシ。
陳老師は、自分にもし万一のことがあったら愛玲を嫁にもらってくれないかと話す。
何の意味が隠されてるのか知ることもなく、ただ照れるタダシ。

陳老師は、庭の焚火に舞い落ちる落ち葉を眺めながら、タダシの技が直線過ぎると言う。
太極古道の極意は曲線、すなわち円だと諭す。

 

全く意味不明でチンプンカンプンのタダシ・・・

 

タダシと愛玲は奪われたトラックを探す。

 

決戦を前に参拝する陳老師。
それを見張る唐崎興業のヤクザ達。

歩く陳老師の後ろからヤクザの車が突進！
跳ねられ意識不明となった陳老師の元へタダシと愛玲が駆けつけるが・・・

陳老師はタダシに愛玲を頼むと言い残し息を引き取ってしまう。

 

 

怒りに燃えたタダシは陳老師が向かうはずであった決戦の場に向かう。
タダシは太極古道の代表として闘うことになる。

そこで待っていたのはウルフ。

しかし、タダシとウルフが闘う中、商工会会長の津村が体を張って止めに入る。

陳老師の墓前に立つ愛玲と津村、鈴木館長、忍、三平。そしてタダシ。
愛玲へ武道館建設に向けて協力を要請する津村。

鈴木館長もタダシに協力するように言う。

 

太極古道の弟子達に稽古をつけるタダシ。
焚火に舞う落ち葉を見かけ、陳老師との稽古を思い出す。
そして、ついに理解した！

 

愛玲と歩く三平へ唐崎興業が襲いかかる、そこには神父に化けたデビル・クルス。
三平を気絶させ、愛玲は教会へ拉致される。

 

唐崎は愛玲に武道館の後見人として豪原を指名しろと迫る。
拒む愛玲。

そこへ三平が尼僧に扮して助け出そうとするが・・・
捕えられて棺桶に閉じ込め地中に埋められていく。

そこへタダシが救出に現れる。

教会でヤクザ達をなぎ倒し愛玲を救出しようとするが、すでに愛玲の姿はなかった。

タダシは豪相流道場へ三平と向かう。

 

待ち受けるのは、ウルフを頭にしたアブナイ空手殺し屋軍団。

そこへ鈴木館長も乗り込む。

豪原と唐崎の悪事に対し叱責し愛玲の解放を訴える鈴木。

豪原の道場生、唐崎のヤクザ達がタダシと鈴木を襲う。

そこへ愛玲救出のため潜入する忍と三平。

地下室で拉致されている愛玲を救出しようとする。

 

タダシと鈴木館長が闘いを繰り広げているその時、葉隠古武道の外山鉄蔵が九州武道会
の猛者達を連れて助けに入るが、あえなくヤクザ達の凶弾に倒れてしまう。

怒りに燃えるタダシと鈴木館長。

鈴木館長は豪原を倒し、タダシは吸血ハブ兄弟、クレイジー竜、バスラ達と乱闘、
その中で唐崎はクレイジー竜の剣を受けて絶命する。

 

一方、地下室では忍、三平、愛玲がヤクザ達と戦っていた。
そこへウルフが現れ愛玲を気絶させさらっていく。

ウルフ、ハブ兄弟、デビル・クルスらは愛玲を車に乗せ逃げて行くが、
それをタダシはトラックで追いかける。

岩山でウルフの車を発見したタダシは近づいていくが、待ち受けていたハブ兄弟の
弓矢に襲われる。
かろうじて弓矢を避け、ハブ兄弟と闘うタダシ。
更に闘いに加わる十字架剣を持ったデビル・クルス。

タダシは鎌で対抗する。

三人を倒したタダシは、愛玲を抱えて挑発するウルフを追いかける。

 

対峙するタダシとウルフ。

ウルフはナイフを取り出しタダシを襲う。

鎌とナイフの闘い。

しかし、タダシの鎌で抑えられたウルフのナイフ。
二人は素手の闘いへと移行する。

タダシは、ウルフの容赦なき突き、蹴りをかわしていくが更にウルフが靴に仕込んで
あったナイフにより体中を切りつけられ苦戦。

何とかナイフを折り制圧したかと思われたが、ウルフの強烈な
突き、蹴り、手刀で意識もうろうとなる。

 

愛玲が「タダシさん！」と叫ぶ。

タダシの脳裏に浮かんだのは、宙に舞う落ち葉と陳老師の技。

襲い掛かるウルフの突きを飛んでかわし、ウルフの突いてきた腕に乗る。
更に飛び上がりウルウの首筋に蹴りを見舞い、そして体を回転させながら
ウルフの背後に回りウルフの両膝を崩す。
そしてウルフの頭部へ正拳突き、更に背刀！

ウルフは口から泡を放ち昏倒する。

 

勝利したタダシの元へ愛玲が駆け寄る。

そこへ鈴木館長、忍、三平も駆けつけてきた。

タダシは倒れているウルフに手を合わせ、鈴木達の元へ愛玲と伴に歩んでいくのだった。

ー　終　ー

 

【解説】

さて、今回もイカれた武術家がいっぱい出てきて楽しかったですね。

その中でも、ウルフ。

かなり顔ひん曲げて強烈でした。

さて、このウルフ役は誰かなと思い検索したのですが、多分この方かなと思います。
Donie Williams（映画の表示ではダニー・ウィリアムスですが、ドニー・ウィリアムスが正しいかと）
アメリカで空手を始め、１９７０年代数々の試合で活躍してたそうです。
「燃えよドラゴン」のワンシーン（ジム・ケリーが黒人の道場を訪れるシーン）でも
映ってるとのこと。
現在は牧師さんだそうです。（写真２枚とも向かって左側）

 

今回のヒロインを演じた愛玲こと、早川絵美さん。
「女必殺拳」にも出演されております。
代表作に『ザ・カゲスター』のヒロイン・風村鈴子役をやられてたらしいですが、
残念ながら私は『ザ・カゲスター』がどんな番組だったかも知りません・・・
知ってる人はよく知ってると思いますが。
少林寺拳法初段ということもあり、特撮、アクションでは当時貴重な女優さんだったと思います。

 

さて、こういった映画で欠かせないのが、やられ役、殺され役の役者さんです。
有名な川谷拓三さんも、もちろん出演してます。
少なくとも違う役で見事に２回殺されてます。

翌年には、この映画の共演者、山城新伍さんとのＣＭが好評で１５年間続きました。

そして、多分このシリーズには全部出演してるのが片桐竜次さん。
最近では、「相棒」の警視庁刑事部長 内村完爾役ですね。
若い頃から様々な役をこなしてきたベテランです。
このシリーズを何回か観てると確認できると思います。

さて山下タダシ先生の現在ですが、山下国際武道協会の創始者としてアメリカで活躍
されております。

タダシ先生は、この映画の後も来日して、彼の弟子がキックボクシングの大会に出場したり、
千葉真一や倉田保昭との共演映画も製作されてます。（また後日紹介したいと思います。）

アメリカでのセミナー映像です。技のキレが半端じゃないですね。

２００５年の映像のようですが、眼光の鋭さは変わってないですね。

この映画の中で陳老師がタダシに話す言葉。
「君の技は確かに一流だ、しかしあまりに直線的すぎる。」
「太極古道の極意は曲線。つまり円だ。」

これは聞いたことあるなと思った方いますか？

そうです。
「空手バカ一代」で大山倍達が陳老人に言われた言葉ですね。

ここでも影響を与えている「空手バカ一代」おそるべし。

こういった映画は今後もう製作されることはないでしょうね。
でも、せめてＤＶＤかブルーレイにして残して欲しいです。
松竹の「カラテ大戦争」がＤＶＤになったんですから、東映さんも頑張ってください！

ゆうことで、今回はこれで終わります。

あ、コメントは、ＦＡＣＥＢＯＯＫでしてもらえると、ありがたいです。

 

 

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